経営者の智恵袋

1.行動に着目するパフォーマンス・マネジメント

社員のパフォーマンスには2:6:2の法則があるとされる。上位2割が優秀で、6割が平均的、残り2割が問題児に分類されるというものである。その法則を前提とすると、企業の業績を伸ばすには、上位2割の生産性を更に伸ばすよりも、平均6割に焦点を当てるべきだとする考え方がある。下図表は、上位者の生産性を更に15%向上した場合と、平均6割の生産性を10%向上した場合を比較したものである。5%の差をつけたとしても母数の多い平均6割の生産性向上の方が全体の業績向上には寄与することになる。

図表1 上位者と平均者の生産性向上の全体の生産性向上への影響

問題は、どうすればこれら平均に位置する人材のパフォーマンスを向上できるかである。永遠の課題とも捉えられなくもないこの問題に対処するための考え方の一つに、行動科学に基づくパフォーマンス・マネジメントという手法がある。
行動科学とは、人間の「行動」に焦点を当て、結果の再現性を導き出そうとする学問である。パフォーマンス・マネジメントは、行動科学の考え方に基づき、「業績」を変えるにはその誘因となる「行動」を変えることが必要不可欠として、心理学的要素も加えつつ業績向上に向けた行動変革の方法を提供するものである。業績向上を導く行動は、社員が日々行なっている行動のうち、何が重要なのか。その行動を見極めて、行動科学の考え方に基づいて人間の行動を反復させるような仕掛けを施す。この社員の行動に焦点を当てた一連の取り組みによって業績向上を図ろうとするのがパフォーマンス・マネジメントである。
パフォーマンス・マネジメントというコンセプトは、最近、ビジネス・インテリジェンス(BI)ソフトウェアの領域において使われ始めている。BIの考え方に基づくパフォーマンス・マネジメントは、活動基準原価マネジメントやバランス・スコアカードといった経営手法の概念を取り入れた包括的なシステム・ソリューション手法である。しかし、これは必ずしも社員の行動そのものに強く焦点を当てているわけではないと捉えられる。

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