
企業側の戦略の観点からは、拡大するリユース市場を新品販売の「敵」として対立関係で捉えるのか、または既に当たり前のように行われている新車販売会社が別ブランドで中古車買取・販売事業を行うように、消費者とより長期にわたり接点を持つためのビジネスチャンスと捉えるのかという大きな分かれ目があると同時に、第2節の社会背景(5)で触れたように、「環境を意識した経営」の一環として取組むケースもあると考えられ、そのことが市場の拡大を一層加速しているのではなかろうか。分かりやすい例としては、大手電機メーカーなどが、リユース・リサイクルの取組み(中古パソコンの買取・販売など)を環境報告書 (注)に記載して対外的にアピールしている。環境保護への取組みを、「企業の社会的責任(CSR)」と位置づけて義務として取組むのではつまらないが、第5回「経営者の智恵袋」(多様化するCSR(企業の社会的責任)論)で提案したように、「多様なステークホルダーとの共存共栄を図ることが企業の持続的発展にとって長期的には得策である」と考えると、前向きの取組みが可能になりそうである。
また、新しい分野なので、今後の検証も必要であるが、投資家の観点からは、環境報告書の開示企業は株式市場でもポジティブに評価されているという調査結果(参考資料*4)もある。一般化して言うと、環境への取組みに積極的で、そのことについて外部とうまくコミュニケーションがとれている企業は、株式市場でプラスの評価を受けている可能性がある、ということになる。弊社流の解釈をあてはめると、「多様なステークホルダーとの共存共栄を図ることが企業の持続的発展にとって長期的には得策である」が、環境への取組みにも、共存共栄の姿勢が端的にあらわれるという認識が市場に広がりつつある、ということになる。
(注)環境省は「環境報告書ガイドライン」(参考資料*5)を公表しているが、その中で、「環境報告書」につき下記のように説明し、「基本的には事業者の事業年度に合わせ、毎年1回、作成・公表することが望まれます。」としている。
「環境報告書とは、その名称並びに公表媒体に関わらず、事業者が環境コミュニケーションを促進し、事業活動における環境配慮の取組状況に関する説明責任を果たすとともに、利害関係者の意思決定に有用な情報を提供するためのものです。
環境報告書は、事業活動における環境配慮の方針、目標、取組内容・実績及びそのための組織体制・システム等、自らの事業活動に伴う環境負荷の状況及び事業活動における環境配慮の取組状況を、環境報告書の一般的報告原則に則り総合的・体系的に取りまとめ、これを広く社会に対して定期的に公表・報告するものをいいます。」
今回は、さまざまな分野で台頭しつつあるリユース業について、商品横断的に概観した。古本屋、質屋、・・・などをイメージすると、昔からあった業態であるように思えるが、上場企業の規模で事業が展開され、しかも個社別には専門分野を持ちつつ、全体としては多様な商品が取り扱われるようになってきたのは、比較的最近の傾向である。その裏には、第2節に挙げたような、さまざまな社会背景があると考えられるが、以上で見てきたように、1.企業の全社戦略・事業戦略の観点からも、2.投資家(投資戦略)の観点からも、リユース業は注目に値する。
貴社の事業にもよるが、1.成長市場に対応する新規事業分野としてのリユース事業、2.本業での顧客指向を補完・強化するためのリユース事業、 3.環境経営の一環としてのリユース事業への取組み、4.投資先としてのリユース事業者、など、さまざまな観点から、リユース事業、リユース事業者を見直してみてはいかがだろうか。
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