経営者の智恵袋

1.はじめに

第8回「経営者の智恵袋」では、事例研究として、衣料、電化製品、書籍等のリユース事業への事業転換を行った株式会社ワットマンに注目した。これをきっかけに、今回は、さまざまな動きの見られる「リユース業界」にスポットライトを当てて、業界の特性や、業界をめぐる社会環境の変化についてまとめてみたい。

2.拡大するリユース市場

「リユース」という言葉は、比較的最近広まった新しい用語である。99年の通産省(当時)産業構造審議会報告書(参考資料*1)において、循環型経済システムを構築するための基本的な考え方がとりまとめられているが、そこで、従来のリサイクル対策(1つのR=1R)を拡大して、リデュース(REDUCE:廃棄物の発生抑制)、リユース(REUSE:再使用)、リサイクル(RECYCLE:再資源化)という3つのR(=3R、スリーアール)の取組みを進めていくことが必要であるということが提言された。「3R政策」は経済産業省に引き継がれ、現在も推進されている(参考資料*2)。なお、この分野の用語としては、「3R」にリフューズ(REFUSE:過剰包装やレジ袋を断る)を加えて「4R」としたり、さらにリペア(REPAIR:修理して長く使い続ける)を加えて「5R」としたりすることもある。
一般に、リユース事業は広義のリサイクル事業に含められるが、狭義のリサイクル事業が使用済み製品の「再資源化」を意味するのに対し、リユース事業は図1に示すとおり、回収した製品に点検・清掃・修理などを施して、別のユーザーの利用に供することを意味する。

図1 リユース事業の定義

リユース市場は、総じて拡大傾向にあると考えられる。網羅的な統計は存在しないが、例えば参考資料*3は、経済産業省の「商業統計」では、02年における中古商品(骨董品、衣服、楽器、家具などの中古商品のみをカバーする数字であり、自動車、書籍、宝飾品などは含まれていない。)の年間販売額を3,000 億円超とし、97年対比、57%増加したとしている。これは年平均に換算すると約9.4%の伸びである。
このような市場の拡大の裏には、以下に例示されるようないくつかの社会背景があると考えられる。

  1. 消費の多様化による中古商品への抵抗感低下
  2. 潤沢な家庭内ストック(もの余りによる中古品の処分)
  3. 中古商品を扱う大型チェーン店舗の出現(中古商品へのアクセスの場として、また低額の時間消費型エンタテインメントとして)
  4. インターネットの普及による売り手・買い手のマッチング機会の増大(インターネットの意義については第1回「経営者の智恵袋」(ロングテール)もご参照
  5. 消費者や企業の環境問題への関心の高まり

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