経営者の智恵袋

1.日本と「黒船」

日本の近代、つまり明治の幕開けを思い返してみると、様々な点で「機が熟した」結果であったと総括できようが、「黒船の来航」が当時の日本の背中を押したことは間違いない。その後の日本の歩みを振り返っても、節目節目で「黒船」によって既存の仕組みやルールを変更することを余儀なくされたり、または「黒船」を逆手に取って変革を遂げたりしてきたとも言える。良くも悪くも、日本の変貌と「黒船」は切っても切れない縁にある。
そのような歴史背景のある日本で、会社法の制定による外国企業に自社株を対価とする日本企業買収を可能にする「三角合併」の解禁が本年(2007年)5月に迫り、その影響についての議論が一段と活発化している。本稿では、「三角合併」において日本企業の対立関係となる外資系企業について、1.外資系企業に対するイメージ調査の結果と、2.外資系企業による日本企業への資本参加の結果についての研究結果を紹介した上で、これらの調査・研究結果の中でも企業の戦略や業績への重要な要素として言及されている人材マネジメントについて、日米比較に関する文献を概観する。
なお、本稿では、物理的あるいは資本的に既に日本に進出している外国企業もまだ進出していない外国企業も総称して「外資系企業」と呼ぶこととする。

2.外資系企業に対するイメージ

参考文献1は、日本に進出している外資系企業について、政府が民間調査機関に委託してインターネットで実施したアンケート調査の結果である。外資系企業に対する全体的なイメージとしては、約半数が「良くも悪くもない」(48.9%)と回答。「良い」(4.5%)あるいは「どちらかというと良い」(27.8%)という回答が全体の約1/3を占め、「悪い」(1.0%)あるいは「どちらかというと悪い」(5.6%)と回答した割合を大きく上回った。過去10年間でイメージが変わったかという問いに対し、「特に変わらない」という意見が約半数(47.7%)であったが、「良くなった」(30.2%)という意見が「悪くなった」(8.9%)という意見を大きく上回った。
外資系企業の良いイメージとして、「グローバルな視野」、「国際展開、ブランド、競争力」、「性別・年齢に関わらず、能力のある人材が実力を発揮できる環境」とする回答が多かった。特に、「性別・年齢にかかわらない実力の発揮」については女性の回答が男性を大きく上回った(図1)。この結果、外資系企業での勤務意向は女性の方が高い。逆に、外資系企業の悪いイメージとしては、「地域に根付かず、すぐに撤退する」、「日本企業を安く買い叩き、短期間に高く売却する(ハゲタカ)」、「厳しい成果主義による、不安定な給与や雇用」を選択する回答者が多かった(図2)。

図1 外資系企業の良いイメージ(男女別) 図2 外資系企業の悪いイメージ

一口に「外資系企業」と言っても、その実態は千差万別であり、個別企業ごとの個性の差がきわめて大きいわけであるが、本イメージ調査からは、外資系企業の良いイメージ、悪いイメージとして、国民がどういう点に着目しているかが良く分かる。

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