
近年、抜本的な事業改革を行ううえで、MBOの実施によって非公開化するケースが増えている。しかし、同社は上場を維持しつつ抜本的な事業転換を達成しているという点で、最近のMBOを活用した事業改革に一石を投じるケースとして捉えられる。
MBOは、「資本市場の短期的な利益プレッシャーから開放され、中長期的な観点での事業再編が可能」という錦の御旗がある一方で、経営状況を最も理解する経営者自身が買い手となることからインサイダー取引の疑いがあるという見方もある。株主からみるとMBOは、株主に対して保有株式売却の道筋を明確化する一方で、買い手が安値で買収しようとした場合に株主価値の毀損につながる懸念を伴う。
MBO手法を取り入れず、上場を維持したうえで事業改革を行う場合は、改革の実施プロセスにおいても市場の評価は継続することになる。事業改革に懐疑的な株主は市場で売却すればいいと考えると、むしろ上場したまま事業改革に取り組んだ方が、株主にとってはフェアと考えられなくもない。また改革を行う側にとって、資金調達にかかる選択肢は、上場しておいた方が未上場の場合よりも高いはずである。
このような点を考えると、少なくとも、抜本的な事業改革を実施するうえではMBOを前提とする必要がある、という認識は持つべきではない。
以上
〔謝辞〕 本事例研究を行ううえで、株式会社ワットマン 清水社長には快くインタビューに応じて頂くなど、多大なご協力を頂いた。改めて御礼申し上げたい。なお、本資料は、同インタビュー結果のほか、同社IR資料等を基に作成している。
本サイトに掲載されている情報はスパークス・アセット・マネジメント株式会社のご案内を目的としたものであり、特定の商品あるいは有価証券の投資勧誘を目的としたものではありません。提供している情報の正確性や完全性をスパークス・アセット・マネジメント株式会社が保証するものではありません。サイト内に記載されている情報の著作権は、スパークス・アセット・マネジメント株式会社に帰属し、スパークス・アセット・マネジメント株式会社の許可無しに転用・複製・転載等をすることはできません。