
売上高500億円、店舗数50店弱を有する小売企業が、その本業から撤退し、従来とは異なる事業で改めて成長を目指す。そのような取り組みは机上論としては理解できたとしても、実際にその当事者となって取り組むとなると、従業員、取引先、債権者、株主など様々なしがらみがあり困難を極めるであろうことが想像される。
ジャスダック上場の株式会社ワットマンは平成17年3月期に、上場を維持しつつ、本業としていた家電量販店事業から完全に撤退し、衣料、電化製品、書籍等のリユース事業への事業転換を達成している。最近では、MBO(マネジメント・バイ・アウト)を行い非公開化したうえで事業構造改革に取り組む例がみられるようになってきたが、上場を継続し抜本的な事業転換を実施した事例として位置づけることもできる。
株式会社ワットマンは、昭和53年に神奈川県横須賀市で清水合業社より家電販売部門を分離して設立。以降、家電・AV機器小売店舗のチェーン展開によって成長。平成4年、店頭登録。最盛期の平成13年3月期には、神奈川県を地盤として40店舗以上を展開し、売上高503億円、経常利益4.0億円、当期純利益1.8億円、総資産229億円を達成していた。同期末の従業員数は333名、平均臨時雇用者数を合わせると622名である。
しかし、その翌期(平成14年3月期)には売上高が463億円に低下。経常利益0.1億円、当期純損失▲3.7億円という厳しい決算を強いられる結果となった。一方で同年、環境対策に対応する新業態店舗としてリユースショップを新設。後にそれが、同社が経営資源を集中することになるリユース事業の礎になることになる。平成16年5月(平成17年3月期)、同社は中期経営改革計画を発表し、家電事業からの完全撤退とリユース事業への業態転換を開始。その経営改革計画の概要は以下の通りである。
本経営改革計画を発表後、同年9月には、家電事業からの完全撤退、リユース事業への転換を実現。平成18年3月期の業績は、売上高20億円、経常利益▲1.4億円、当期利益▲2.7億円。期末の店舗数は、27店となっている(ほかに携帯ショップが1店舗)。
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