
「CSR(Corporate Social Responsibility=企業の社会的責任)」という言葉の認知度は、過去数年の間に急速に高まった。今日では企業経営の日常用語となり、多くの企業で何らかの取り組みが行われている。
ところでCSRとは何か。実は、その言葉の示す内容は、受け止める人によって一様ではない。例えば、日本経団連は次のように言う。
「CSRの具体的内容については国、地域によって考え方が異なり、国際的な定義はないが、一般的には、企業活動において経済、環境、社会の側面を総合的に捉え、競争力の源泉とし、企業価値の向上につなげることとされている。」(*1)
確かに一つの捉え方ではあろうが、この定義を見て「CSRって、こんなことだったの?」と違和感を抱く人も多いはずだ。「責任」や「倫理」の視点が前面に出ず、「CSRは儲かる」と言われているようにも感じられる定義だからだろう。
経済同友会でもCSRについての様々な提言や調査を行っている。興味深いのは、2002年と2005年の秋に実施された経営者の意識調査である。各種設問の中で、CSRに含まれる可能性のある12項目を示して、「貴社にとってのCSRにはどの項目が含まれるか」を聞いたところ、下のグラフのような結果になった(*2)。

出所:参考文献*2
調査対象:今回は同友会会員所属企業および東証1部・2部上場企業、前回は会員所属企業のみ
経済同友会としては、この結果を以下のように評価している。
ところで、経済同友会が挙げた12項目(前出グラフをご参照)をあらためて見ると、社会的責任などと言わなくても、企業として取り組むことが当たり前であると感じられるものがほとんどだ。その意味で、ある項目が「貴社にとってのCSRに含まれる項目」として選択されなかった場合、「企業としてそこまでの社会的責任は負っていない」という判断に基づくケースだけでなく、「そもそも社会的責任以前の問題だ」という判断に基づくケースもあると考えられる。いずれにしても、日本経団連の定義と経済同友会の定義が十分に近いとは思えない。
なぜCSRに取り組むべきなのかという議論も盛んに交わされているが、CSRの定義自体がこのように一様でないこともあって、論者によって理由付けは様々である。単純化すると、日本経団連の定義のようなところから出発すると、「CSRは儲かるから(利益につながるから)」(婉曲に言うと「長期的に見れば得策であるから」)ということになる。一方、経済同友会の定義のように、本来、取り組んで当然のことをCSRと定義するならば、規範的・倫理的な理由から CSRに取り組むべきだということになる。
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