
「ウーマノミクス」(Womenomics、英語の発音に忠実に「ウィミノミクス」と表記されることもある)という概念が注目されている。
「Women」(女性)と「Economics」(経済)を組み合わせた造語だが、労働力として、また消費や投資(住宅や金融商品の購入など)の担い手として、女性がこれからの経済を牽引するという考え方である。例えば、女性の就業率(65%弱)を米国並(70%強)に引き上げることにより、今後20年間の日本のGDP成長率は、基本シナリオの1.2%から1.5%へ0.3ポイント上昇し、人口一人当たり所得は5.8%増加するという試算がある(*1)。女性が一層の活躍をする余地が、「日本の含み資産」だというわけだ。
英国Economist誌の記事(*2)は、ウーマノミクスの考え方がグローバルに成り立つとしている。日本を含めた多くの国で、女性が一層の活躍をする余地があるが、これが経済成長の源泉となると考える。米国のように既に女性の就業率が高い国もあるが、例えば米国では高等教育を受ける女性の比率が男性の1.4倍に達しており、そのような国でも、女性の労働生産性の向上が経済成長に貢献すると予測している。
企業活動に目を転じると、女性の活用が企業業績の向上につながるかどうかが気になる。この点については様々な実証研究が実施されているが、経済産業省による分析が興味深い(*3、*4)。結論としては、まず、「先行研究と同様に、女性を多く雇う企業では利益率(経常利益/総資産)が高い」ということが判明。但し、詳細に分析すると、女性比率と利益率は見かけ上の相関を有するに過ぎず、「企業固有の要因」こそが企業業績を高め、さらに女性比率にもプラスの影響を与えているということが分かったとしている。「企業固有の要因」とは、具体的には、「男女勤続年数格差が小さい」と「結婚・出産で退職した女性を再雇用する制度がある」の2つである。男女勤続年数格差が小さいということは、女性が長く働き続けられるような施策(仕事と私生活のバランス)だけでなく、男女にかかわらず、ロイヤリティ(愛社精神)やモチベーションを高めるような公正な処遇、明確な目標の提示といった施策が存在するのであろうと、経済産業省では推定している。
女性活用に向けての個別企業の取り組みも活発である。理由としては、直接的に業績向上をめざすというよりも、人材難や社会的責任(CSR)としての取り組み、といった背景が強いようだ。ちょうど20年前の86年に男女雇用均等法が施行された後、90年に日本IBMと花王がいち早く女性活用の専門組織を設置した。その後、帝人や松下電器産業が続いたが、2004年以降、下表のように、主要企業の大きな潮流となっている。
| 設立時期 | 社名 | 専門組織の名称 |
|---|---|---|
| 2004年9月 | みずほコーポレート銀行 | 女性活躍促進チーム |
| 10月 | シャープ | ポジティブ・アクション推進チーム |
| 日産自動車 | ダイバーシティ・ディベロップメント・オフィス | |
| 東芝 | きらめきライフ&キャリア推進室 | |
| 2004年12月 | ファーストリテイリング | 女性キャリア推進室 |
| 2005年4月 | TOTO | きらめき推進室 |
| デュポン | 女性リーダー推進室 | |
| 7月 | 日産自動車 | イコール・パートナーシップ推進室 |
| 10月? | 松下電工 | 女性躍進推進室 |
| INAX | EPOCH女性活躍推進室 | |
| 2006年2月 | 東京電力 | ダイバーシティ推進室 |
| 4月 | 日本テレコム | ダイバーシティプロジェクト |
| 三菱東京UFJ銀行 | 女性活躍推進室 | |
| 8月(予定) | 積水ハウス | 女性活躍推進グループ |
出所:各種報道による
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