
1.投資家の意識の変化
昨今、個人投資家が株式投資において重視するポイントが、各銘柄の「値動きの良さ」から、当該企業の「経営者の資質」にシフトしているという報道の論調がある。投資家の重視する度合いが急激に高まった「経営者の資質」とは、一体何なのだろうか。
2.「経営者の持論」と「研究者の持論」
「経営者の資質」については経営者自身や研究者が「リーダーシップ論」という形で様々な議論を展開している。これらの中には、ストレートに「資質」を論ずるのではなく、経営者の「役割、責任」を論じている場合が多いのだが、そのような「役割、責任」を果たすために必要な能力が「経営者の資質」であるということなのだろう。
(1)経営者の持論
ジャック・ウェルチ(前GE会長兼CEO)
「GEのリーダーに必要な4つのE」
- 活力に満ち溢れ(Energy)
- 目標に向かって周りの人間の活力を引き出し(Energize)
- むずかしい問題でイエス・ノーをはっきりさせるだけの決断力があり(Edge)
- つねに言ったことを実行する実行力がある(Execute)
カルロス・ゴーン(日産自動車共同会長兼社長)
「経営者の責任、役割」:
- 自分たちの企業の未来を信じ、そのことを社員に伝えること、
- 社員に平等に地位向上のチャンスを与えること、
- 物を作って売ったり、サービスを提供したりするという企業本来の使命から、会社が逸脱しないようにすること、
- 時間を管理すること(「長期計画」と、市場が要求する「短期の結果」のバランスをどうとっていく かということ)
ハロルド・ジェニーン(元ITT社長兼最高経営責任者)
「経営者は経営しなくてはならぬ!」:
「経営する」とは何かを成し遂げること、マネージャーである個人またはチームが、努力するに値することとしてやり始めたことをやり遂げることだ。
(2)研究者の持論
ウォーレン・ベニス
「リーダーシップの基本的要素」:
- 自分を導くビジョン(自分が何をしたいか)
- 情熱
- 品性
- 好奇心
- 豪胆
ジョン・W・ガードナー
「リーダーの資質」:
- 肉体的活力とスタミナ
- 知力と実行判断力
- 責任を引き受ける意欲
- 任務遂行能力
- 部下に対する理解
- 人を扱う技術
- 偉業を達成する必要性(達成欲求があること)
- 人々を行動に駆り立てる能力
- 勇気・決意・着実性
- 信頼を獲得し保持する能力
- 管理し決定し優先順位を設定する能力
- 自信
- 自己主張
- 戦術の適用性と柔軟性
ジェームズ・C・コリンズ
「第五水準の経営者」:
第五水準とは、企業幹部の能力に見られる五つの水準の最上位を意味する。
第五水準の指導者は、
- 個人としての謙虚さと職業人としての意思の強さという矛盾した性格をあわせもつ、
- 次の世代でさらに偉大な成功を収められるよう後継者を選ぶ、
- 徹底して謙虚、控えめで飾らない、
- 熱狂的といえるほど意欲が強く、すぐれた成果を持続させなければ満足しない、
- 職人のように勤勉に仕事をする、
- 成功を収めたときは、自分以外に成功をもたらした要因を見つけ出し、結果が悪かったときは、自分に責任があると考える。
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